京丹後市内の府立高校4校の生徒たちが企画・運営するSDGsの祭典「丹後万博2023」が、2023年10月28日、弥栄町の道の駅「丹後王国『食のみやこ』」で開催されました。2回目となる今年のテーマは「守ろうで、丹後のええもん―自然・人・伝統・食・産業―」。丹後ちりめんの古着ファッションショーや海岸漂着ごみを活用したアート作品の展示など多彩な催しが行われ、約2500人が訪れました。
府立高校4校の生徒を中心に実行委員会を結成
「丹後万博」は、2021年に開かれた京丹後市のSDGs関連イベントで、京都府立峰山高校の生徒が発表したアイデアをきっかけに始まりました。2025年の大阪・関西万博を盛り上げ、市民にSDGsへの理解を深めてもらおうと、市内の高校生が中心となってイベントを企画・運営するのが特徴です。
今年は峰山高校、丹後緑風高校網野学舎と久美浜学舎、清新高校から集まった20人が中心となり実行委員会を結成。地域の企業や団体の協力を得て、コンテンツづくりやプロモーション活動、準備に取り組んでいきました。また、今年はメタバース(仮想空間)での開催にも挑戦。イベントに来られない人も、ステージ発表のライブ配信や出展ブースの紹介動画を楽しめるようにしたのです。
草木染×着物リメイクのファッションショー、海岸漂着ごみのアートや昆虫食クッキーも
イベント当日は、高校生が企画した19のコンテンツのほか、地域の企業や団体によるブースも出展されました。ステージでは、清新高校の生徒たちが草木染などでリメイクした丹後ちりめんの古着ファッションショーを行ったほか、峰山高校と丹後緑風高校久美浜学舎の生徒、市在住の外国人、丹後吹奏楽団によるコラボバンド「国際バンド」が演奏を披露するなどして、イベントを盛り上げました。
丹後緑風高校網野学舎の生徒たちは、海岸漂着ごみを原料に作ったキーホルダーなどの「プレシャスプラスチック商品」や、古代米(赤米)を使ったパウンドケーキなどを販売。峰山高校の生徒たちのブースには、昆虫食クッキーや規格外のサツマイモや梨で作ったアイスなどが並びました。他にも、丹後緑風高校久美浜学舎の生徒たちによる伝統織物の切れ端と海岸漂着ごみを活用したアート作品の展示、清新高校の生徒たちによるビール粕で作ったクッキーの試食会など、さまざまな催しが行われました。
会場内では、行方不明者の捜索などに活用できるスマートフォン向け福祉アプリ「みまもりあいアプリ」を使ったデジタルスタンプラリーも行われました。会場内の各ブースに設置されたQRコードを回り、スタンプを集めた参加者には、昆虫食クッキーなどがプレゼントされました。
SDGsを身近に感じ、“自分事”として捉えるきっかけに
多くの来場者が、SDGsの理念に触れた丹後万博。実行委員長を務めた丹後緑風高校網野学舎3年の渡利素晴さんは「京丹後の魅力と課題に触れ、楽しんでもらえるイベントになって良かった」と振り返ります。イベントは、ABCラジオの番組「辛坊治郎の万博ラジオ」でも紹介されました。現在は京丹後市のみで開催していますが、将来的には、丹後地域にエリアを広げることも考えているそうです。未来を担う高校生や市民が、SDGsをより身近に感じ、“自分事”として捉えるきっかけとなるよう、これからも多くの高校生や市民、企業・団体に関わっていってもらいたいです。