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コラム 2024.1.15

まだ食べられるのに捨てられる?! 「食品ロス」を削減するには

 冷蔵庫の中に賞味期限間近の食品を見つけて、焦ったことはありませんか。使いきれればよいですが、いま、規格外で販売できない、スーパーなどで売れ残る、飲食店や家庭での食べ残しなど、まだ食べられるのに何らかの理由で捨てられてしまう食べ物、「食品ロス」が問題になっています。SDGsでは目標「12.つくる責任 つかう責任」で世界全体での食料の廃棄・損失の削減を掲げていますが、食べ物を無駄にしないために、私たちができることは何でしょうか。

世界では年間約13憶トンの食料が捨てられている

 国連食糧農業機関(FAO)は2011年、生産から加工、流通までの段階で、年間約13億トンの食料が世界中で捨てられていると発表しました。これは、1年間に生産される食料の約3分の1に当たります。
 日本では、FAOの定義よりも広い、生産から消費までに捨てられる食品を「食品ロス」としています。農林水産省と環境省の推計によると、2021年度に日本で発生した食品ロスの量は約523万トン。国民1人当たりで見ると、毎日114グラム、ご飯茶わん1杯分の食品を捨てていることになります。事業所から279万トン、家庭からは244万トンの食品ロスが出ました。家庭の食品ロスの内訳を見ると、食べ残し105万トン、直接廃棄105万トン、過剰除去34万トンとなっています。
 無駄になってしまった食べ物はごみとして処理するのに費用がかかりますし、焼却すれば、地球温暖化に影響を及ぼす二酸化炭素が排出されます。食品ロスは、さまざまな問題につながっているのです。

食材の多くを輸入に頼り、「フードマイレージ」が増大

 日本の食料自給率はカロリーベースで38%。半分以上の食料を海外からの輸入に頼っています。食品の輸入が地球環境に与える影響を示す指標として、食品の輸送量と輸送距離を掛け合わせた「フードマイレージ」が使われますが、2001年時点の日本のフードマイレージは約9,002億トン・キロメートル。諸外国と比べると非常に大きく、韓国の2.8倍、アメリカの3倍以上です。
 これらのことを総合して考えると、日本では、環境に負荷をかけながら食料を運んできたにもかかわらず、まだ食べられる物の半分以上が捨てられていることになります。単純にもったいないですし、なんとかしたいですね。

地産地消は地域活性化や二酸化炭素排出の抑制などの効果ががある

コンポスト、規格外食材の活用……京丹後市内で広がる取り組み

 食品ロスを減らすために、私たちができることはたくさんあります。飲食店で食べきれると思う量を注文し、家庭では食べきれる量を作れば、食べ残しは減らせます。買い物の前に、冷蔵庫の中身をチェックすれば、食材の買い過ぎを防げます。すぐに食べる商品は、あえて賞味期限の近いものを選ぶのも、廃棄される食品の削減につながります。家庭に賞味期限に余裕があり、使わない食品があったら、フードバンクに寄付して、必要な人の元へ届けるのもよいですね。
 また、生ごみもコンポストして堆肥にすれば、ごみが減りますし、家庭菜園や園芸に活用できます。京丹後市内のある家庭では、コンポストを始めたところ、可燃ごみを出す頻度が週2回から週1回に減り、1週間で15リットルのごみを減らすことができました。2023年10月に開かれた市内の高校生によるSDGsの祭典「丹後万博2023」では、規格外のサツマイモや梨で作ったアイスなどが販売されました。市民の間でも、少しずつ食品ロスの削減につながる取り組みの輪が広がっています。

コンポストして堆肥にすれば、家庭菜園や園芸に活用できる

  
※参考資料 

消費者庁 食品ロスガイドブックhttps://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_policy/information/food_loss/pamphlet/assets/2023_food_loss_guide_book_231117_01.pdf

環境省 食品ロスポータルサイト
https://www.env.go.jp/recycle/foodloss/general.html#EN1

朝日新聞SDGsサイト フードマイレージとは? 世界との比較や日本の課題を徹底解説!https://www.asahi.com/sdgs/article/14669273#h85sl5jmxe2on0ifms1lvm99z1q1lgaj