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コラム 2024.5.16

「丹後万博を、丹後を活性化させる起爆剤にしたい」発案した高校生の思い

 京丹後市内の府立高校4校の生徒たちが企画・運営するSDGsの祭典「丹後万博」。2022年に初めて開催され、2023年も丹後ちりめんの古着ファッションショーや国や所属を超えたコラボレーションバンドの演奏など多彩な催しが行われました。このイベントを発案したのは、今春、府立峰山高校を卒業した田崎明務さんです。田崎さんはどのような思いを込め、イベントを提案、実施していったのでしょうか。

第1回目の丹後万博開催実行委員会のメンバー(2022年)。前列中央の田崎さんは実行委員長として奔走

丹後で万博を開き、地域の課題解決につなげる

 丹後万博は、市内の峰山高校、丹後緑風高校網野学舎と久美浜学舎、清新高校の生徒が中心となって、企画・運営するイベントです。市も力を入れており、事務局として高校生らでつくる実行委員会の打ち合わせなどをサポートしてきました。2022年度は「伝統 × 革新」、2023年度は「守ろうで、丹後のええもん」というテーマで開催されました。

 このイベントの立役者が田崎さんでした。田崎さんは2021年、高校1年の時に受けた「いさなご研究」という授業で、市が人口減少や伝統産業の衰退などの課題を抱えていることを知ります。丹後の魅力を1カ所に集めて、内外の人に知ってもらうイベントを開催すれば、課題解決につながるかもしれない。「万博」を通して、地域の魅力や可能性を来場者と共有し、発信できるのではないかと考えたのです。

 田崎さんはこの構想を企画としてまとめ、同年11月に開かれた市のイベント「SDGs未来都市・ゼロカーボンシティ推進フェアin京丹後」で、友人らと発表しました。「丹後万博~伝統×革新~」、伝統産業に技術革新を掛け合わせることで、新たなモノづくりやつながりを生み出し、丹後の可能性を広げたいという田崎さんの提案は、市を動かしました。市は翌2022年度のイベントへの補助金を予算化。市内の3校から集まった生徒たちが実行委員会を結成し、イベント開催に向けて動き出しました。

「SDGs未来都市・ゼロカーボンシティ推進フェアin京丹後」での発表

初代実行委員長に就任、地元企業や団体の協力を得て開催へ

 田崎さんは実行委員会の委員長に就任。会場は弥栄町の道の駅「丹後王国『食のみやこ』」です。実行委員会は、地元の企業や団体などの協力を得て、出展するコンテンツを生み出していきました。

 協力してくれた企業の一つが(株)ウッドワークスMINO(網野町)と木製品ショップ休丸の奥口さん(丹後町)です。田崎さんは同社を訪問。代表のお二人から間伐材の活用について話を聞き、木工体験もしました。職人が手間暇をかけて丁寧にモノづくりに取り組んでいることを知ったことが、イベントで行われたかんなで木を削って箸を作る「箸作り体験」につながりました。また、京都府産の木材を活用して、食事用の木製プレートを作り、来場者への特典として配布しました。

 2022年10月に開かれた丹後万博には、高校生による19のコンテンツのほか、地元の18企業・団体が出展。会場には約2500人が訪れました。2023年10月に行われた2回目の丹後万博にも、約2500人が来場。高校生らのSDGsへの思いは、徐々に市内外の人たちに広がっていっています。

取材・体験させてもらった(株)ウッドワークスMINOの三野さん(前列中央右)と木製品ショップ休丸の奥口さん(前列中央左)

高校生の力を示す場、丹後の可能性を創造する場として発展を

 「私の発案した丹後万博が実現し、今後も続いていくであろうイベントにまで成長したこと、高校生の力を丹後内外に示すことができたことがうれしかった」という田崎さん。自身もイベントを通して丹後の魅力を再発見し、活性化を望む気持ちがより大きくなりました。峰山高校では、学校を挙げて取り組むイベントとして、多くの生徒たちが丹後万博に関わるようになりました。

 田崎さんが考える京丹後市の魅力は3つ。「丹後ちりめんやカニといった『伝統産業や特産品』、海と山に囲まれた自然豊かな「土地」、そして自身の提案を受け入れ、丹後万博の開催に協力してくれた『人』です。企画から開催にかけて、多くの方が私の思いに耳を傾け、ともに丹後の発展を目指してくれました。丹後だからこそ、丹後万博を実現できたと思っています」と感謝していました。

 田崎さんは公共政策に興味があり、将来はグローバルな視点を持ちながら、さまざまな地域の課題をその地域の人に寄り添いながら解決していきたいと考えています。「丹後万博には今後も関わっていきたい。丹後万博を、丹後を活性化させる起爆剤にしていきたい。高校生の力を示す場として、そして丹後の可能性を創造する場として、さらに発展していってほしい」と話す田崎さん。田崎さんの熱い思いを引き継いだ後輩たちに、丹後万博を盛り上げていってほしいですね。