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団体 2024.2.8

家庭で眠る古い着物や小物を再活用 着物文化の発信にも取り組む「きもの古~いマーケット」

京丹後市峰山町の企業や商店、住民らでつくる京丹後市観光公社峰山町支部「羽衣ステーション」は2002年から、家庭で眠る着物や小物などを集めて販売するイベント「きもの古(ふり)~いマーケット」を開催しています。イベントの初代実行委員長を務めた赤岩邦子さんと、現在の実行委員長の嶋津澄子さんに、古い着物の再活用を目指すイベントを始めたきっかけや、やりがい、今後の展望について聞きました。

実行委員の嶋津澄子さん(左)と赤岩邦子さん(右)

使わなくなった着物や小物類の出品を募って販売

SDGsの目標「12.つくる責任、つかう責任」では、もののリサイクルやリユースをして、ごみの減少などに取り組む項目があります。「きもの古~いマーケット」について教えてください。

嶋津 皆さまからご家庭に眠っている着物や帯、じゅばん、履物、小物などを集めて、販売しています。2002年からイベントを始めました。コロナ禍で中止した期間もありましたが、2023年11月4、5日に、京丹後市峰山総合福祉センターで19回目のイベントを開き、京丹後市内外の方から寄せられた品物5,000点を販売しました。

赤岩 現在の実行委員会のメンバーは、女性は約15人。男性の方もスタッフとして力を貸していただき、みんなで頑張っています。着物を好きな人たちがボランティアとして集まり、楽しみながら取り組んでいます。

嶋津 販売はイベントの実行委員会が請け負います。羽織や訪問着、帯の出品が多いですね。価格については、出品物の色や柄、状態を見てこちらで決めていきますが、出品される方が決める場合もあります。売上の80%を出品者にお渡しし、残りを手数料としてチラシや看板などの事務経費に充てています。

イベント当日は多くの人でごった返す

パッチワークなどに活用、着物を楽しむ若者や外国人も

寄せられた着物類は、どのように活用されていますか。

嶋津 イベントを始めた頃は、パッチワークや洋服などにリメイクして活用される方が目立ちましたね。最近は、会場で羽織ってみられる方がとても多くなりました。自分で着てみようという方が増えたんですね。

赤岩 若い方も増えましたね。「着物元年」といいますか、いろいろ試して買っていかれます。洋服のような感覚で着る方と、着物としてちゃんと着たいという方がいらっしゃいますね。イベントでは草履やバッグまで、一式全部そろっちゃうんですよ。

嶋津 アメリカから来た若い女性がたくさん買っていかれたこともありました。「リメイクする」と話していましたね。

「地元の方だけでなく、さまざまな地域の方に知っていただいて、来ていただきたいですね」(嶋津さん)

「もったいない」という思いからマーケットの開催へ

きもの古~いマーケットはどのようにして始まったのでしょうか。

赤岩 私は着物に携わった仕事をしていました。昔は結婚するとき、着物を作ってタンス一棹持って行ったものです。でも着る方が少なくなって、着なくなった着物の処分に困っている人も出てきたんですね。

嶋津 それで「もったいないね」と赤岩さんたちと話していて。当時はリサイクル着物の話も出てきていましたので、古い着物のフリーマーケットをやってみようかという話になりました。

赤岩 だけど初期の頃は着物が全然集まらなくて。知人などを通じて出品をお願いすることも多かったですね。2002年の第1回の出品数は648点でした。

嶋津 どのようなものを出せばよいか分からないということもあったのでしょうね。回を重ねるごとに出品数が増えていきました。2014年の第13回には8000点以上が集まって。多く集まり過ぎると準備などが大変になってしまうので、現在は出品数の上限を定めています。2023年は8月下旬から募集を始めましたが、2日後には上限の3500点が集まりました。

「着物を着ると、気が張ってしゃきっとしますし、歩き方も上品になります」(赤岩さん)

イベントを続けてきて現在、どのようなことを思いますか。

嶋津 私は染色業をしていますので、ちりめんなどを扱っているんですね。お蚕さんから命をいただいて作っている糸や織物を、着られなくなったから捨てるのではなくて、着る、使うという人がいれば、お互いに融通し合い、新しく使うというのは良いことだなと思っています。

赤岩 準備に約2カ月かかるなど大変なこともありますが、実行委員会のメンバーが純粋に楽しんでやってくれているのを感じますね。まとまっています。

会場には3500点もの着物や小物が並ぶ

丹後地域の活性化にもつながるイベントに

次のイベントで20回目です。今後の展望について聞かせてください。

嶋津 20回を節目に、今後どのようにしてイベントに取り組んでいくのかを考えないといけないなと思います。実行委員会のメンバーは70代、80代です。後に続いてくれる方も探していかないといけません。着付けのアドバイスなど、買っていただいた着物を楽しんでいただける方法も考えていきたいです。

また、このイベントは丹後の観光資源になると思うんですね。丹後でちりめんを生産しているからこそ、ちりめんの着物が多く出品されます。広報の強化は難しいですが、地元の方だけでなく、さまざまな地域の方に知っていただいて、来ていただきたいですね。丹後の活性化にもつながります。

赤岩 最近は、着物を仕立てる人も少なくなってきています。着物を着ると、気が張ってしゃきっとしますし、歩き方も上品になります。そんな着物文化を残さないといけませんね。

嶋津 若い方たちにファッションとして着物を楽しんでもらうのも、それはそれでありです。そこを入り口に着物を着るようになれば、今度は新しいものを着てみようという気にもなるじゃないですか。捨てる着物をなくして、いろいろなことに使っていただければ、着物のためにもなります。

この記事に関する目標

  • 11.住み続けられるまちづくりを
  • 12.つくる責任つかう責任